養豚場のブタさんとマイクロブタさんの違い

2021年07月16日

コラム

肥大化が進む養豚場のブタさんと小型化が進むマイクロブタさん。二極化するブタさんに大きさ以外の違いはあるのでしょうか?

「基本的には同じ!」

養豚場のブタさんもマイクロブタさんも体の大きさを除けば大きな違いはありません。同じ病気にかかりますし性格面も大きな変わりはありません。どちらも綺麗好きで頭が良く、愛情を注げばそれだけ愛情が返ってきます。ただ違う点もあります。


養豚場のブタさんとマイクロブタさんの違い

・出産数

・発育速度

・発育終了時期

・性成熟の時期

・鼻の長さ

・耳の大きさ

それぞれの違いについてご説明致します。


・出産数

どちらのブタさんも起源は同じですが、繁殖されている目的は全く違います。養豚場のブタさんは当然ながらお肉になる目的である為、繁殖頻度も多ければ出産数も多いです。父ブタさんに高い繁殖能力と優秀な血筋が求められ、母ブタさんはよりたくさん子を出産できるように改良が進められています。乳頭が12個しかない母豚さんも一度に20匹以上の子を産むことも稀ではなくなってきました。平均4~5頭しか産まないイノシシと比べると大きな変化です。マイクロブタさんも乳頭数は12個ですがイノシシの出産数と同じくらいです。


・発育速度

もう一つ現れた大きな変化が成長のスピードです。飼料の影響も強いですが、養豚場のブタさんはマイクロブタさんと比べて発育速度がかなり早いです。これによって大きさだけでなく見た目の違いを生んでおります。発育速度が遅いことにより、幼体の性質が残り、発育終了後も子供らしい”可愛いさ”が残ると言えます。この現象をネオテニーと呼びます。


・発育終了時期、性成熟の時期

マイクロブタさんの場合、発達速度が遅いだけでなく、発育終了時期も早いです。成長の速度が遅いですが、大人になるのは早まるということになります。発育終了時期が早いということは必然的に性成熟も早くなります。養豚場の雄豚は7~8ヶ月で性成熟する一方で、マイクロブタは4~5ヶ月ほどで性成熟することが確認されております。この現象をプロジェネシスと呼びます。


・まとめると…

マイクロブタは養豚場のブタさんと比べて、身体的な発達が遅く(ネオテニー)、発育終了時期、性的発達が早いです(プロジェネシス)。


・鼻の長さ、耳の大きさ

養豚場のブタさんと比べて、マイクロブタさんの鼻は短く、耳が小さいことが特徴です。養豚場のブタさん体の大きさや出産数、発育速度はある程度品種改良によって人為的に操作されていますが、発育終了時期、性成熟の時期、鼻の長さ、耳の大きさは違いはトイプードルとスタンダードプードルを比べた際に同じような違いが見られることから小型化における変化であると考えられます。


イノシシと養豚場のブタさん違い


番外編とはなりますが、イノシシと養豚場のブタさんの違いについても説明致します。

イノシシさん 性成熟1年半

養豚場のブタさん 性成熟7~8ヶ月

マイクロブタさん 性成熟4~5ヶ月


マイクロブタさんは小型化された事により性成熟が早まったと先ほど説明しましたが、養豚場のブタさんより小さいイノシシはなぜ倍近く性成熟が遅いのでしょうか。鼻の長さもブタさんより長いですし、ブタさんには多くのカラーバリエーションがあります。お肉にする目的で家畜化されたイノシシですが、なぜこのように変わり果てた姿になったのでしょうか?


友好的なキツネ


1959年、ドミトリー・ベリャーエフという生物学者は犬は狼の子孫であるはずなのに、なぜ解剖学的、生理学的、行動的に違いのかという疑問に対して一つの仮説を立て、実証に移しました。ベリャーエフは両者の違いは従順さにあると考えました。友好的な個体同士を交配させることによって、キツネを家畜化できるのではないかと彼は考え、数千年という時間をかけて狼が犬になったプロセスを、人工的に模倣しました。彼はカナダの毛皮工場から連れてきたアカギツネの集団を育てて、ソ連の研究所で研究を開始した。生まれたキツネの中でより友好的で人懐っこい子同士を繁殖させました。そこから生まれた個体は、人間とのつながりを持ちたがるようになっただけでなく、まだら模様や巻いた尾、たれ耳、鼻が短くなるなど家畜化された動物の特徴を持つように進化しました。この身体的な変化はブタはもちろん家畜化されたほとんどの動物に多く見られます。そしてこの友好的なキツネにはマイクロブタ同様に身体的な発達が遅く、性的発達は早いことが確認されております。同じ環境下で知育されているキツネの中でも友好的ではなく野生に近い個体同士で繁殖を進めグループには身体的な変化も性的発達も確認されませんでした。


なぜ変化が現れるのか


人も動物も頭部骨格、皮膚、毛を作る際に、神経堤という細胞が働きます。この神経堤細胞はストレスの量によって変化します。恐怖心がなくなり、食べ物に困らず、狩られる心配もなければもちろんストレスの量は減ります。これによって神経堤細胞が影響を受け、模様ができたり鼻が短くなるという外見的な変化だけではなく、性的発達も早くなります。こういった進化を家畜化症候群と呼びます。スイス、チューリッヒ大学のアンナ・リンドホルム博士らのチームが行った実験では野生のハツカネズミと10年触れ合ったことによって茶色い毛皮に白斑が生じ、鼻が短くなりました。このように通常何百年、何千年かかる進化の過程が家畜化することで数年で現れるようになりました。


逆に野生化することで変化が起こる?


ブタさんを野生に放った場合はイノシシのように鼻が長くなり、気性も荒くなります。


ペットとしてのマイクロブタ


ペットという比較的に新しい形で飼育されるようになってきたマイクロブタさんですが、友好的な個体を選択交配されることで変化していったキツネ、そして触れ合うことで姿を変えていったハツカネズミのようによりストレスから解放されるペットという新しい形から、今後も変化する可能性はありえそうです。


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mipig 編集部

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